「知財管理」誌
Vol.70 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 70巻(2020年) / 1号 / 94頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No. 501) |
論文名 | (No. 501) ハーセプチン用法・用量特許事件─進歩性の判断における事後的な実験データの参酌─ |
著者 | 淺見節子 |
抄録 | 用法・用量に特徴を有する医薬発明については、審査基準の改訂により、用法・用量が公知のものと相違する場合には新規性が肯定されるとされ、特許の取得が可能となった。しかしながら構成は容易想到とされることが多く、進歩性が肯定されるためには効果の顕著性を示す必要がある。本事件は知財高裁において、構成は容易想到とされ、事後的に提出された実験データが参酌されず、効果も顕著なものではないとして進歩性が否定された。本稿では、事後的に提出された実験データの参酌に関して、判決や審査基準などを検討することにより本判決の判断は妥当なものと結論付け、また、用法・用量に特徴を有する医薬発明のその他の判決を紹介し、効果が顕著なものではないとして進歩性が否定される判決が多いことを示した。今後はAI技術などの発展により、シミュレーションデータに基づく発明が増えることが予想されるが、その際の効果の取扱いについても検討を行った。 |