「知財管理」誌
Vol.70 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 70巻(2020年) / 1号 / 21頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 2019年FTC v. クアルコム判決から見える「鉄壁の知財モデル」(その2)(完) |
著者 | 二又俊文 |
抄録 | クアルコムは創業35年の米国半導体メーカーである。モデムチップの開発製造で移動体通信方式の進化とともに業容を拡大し、次世代の5G方式では世界の通信イノベーションをリードしている。そのビジネスは半導体部門(QCT)とライセンス部門(QTL)とが相乗効果を挙げるユニークな複合モデルで、世界300社を超えるライセンシーから得るロイヤリティは年間8,000億円となったこともあり、その巨大さ故にこれまで日米欧中韓、台湾の競争当局から調査を受けてきた。2019年5月21日米国サンノゼ地裁で下されたFTC v. Qualcomm判決では、FTCの主張通り独禁法違反が認定され差止命令が出された。233頁の判決理由書で初めて世に公開された膨大な証拠群には多くの業界関係者が驚き、クアルコムのビジネスモデルにスポットライトがあたることとなった。拙論その1では判決を中心に事実関係から見たクアルコムの行為を整理し、その2では判決から読み取れるクアルコムの鉄壁の知財モデルの謎に迫る。 |