「知財管理」誌

Vol.70 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 70巻(2020年) / 12号 / 1795頁
論文区分 海外注目判決(No. 54)
論文名 (No. 54) [中国]マイケル・ジョーダンの中国語名の 商標登録が氏名権を侵害するとされた事案
著者 遠藤 誠
抄録  中国では、商標権の冒認出願が数多く発生しているが、その中には、有名人の氏名権を侵害したものも含まれている。本稿で紹介する事案において、最高人民法院は、第三者が、外国人であるマイケル・ジョーダンの姓の中国語訳「喬丹」につき、中国国内で長期的かつ幅広い知名度を有することを知りながら、当該中国語訳の商標登録出願をしたことは、マイケル・ジョーダンの氏名権の侵害にあたると判示した。他方、関連する他の事案において、最高人民法院は、ピンイン(中国語の発音表記)である「QIAODAN」等については、マイケル・ジョーダンの氏名権を侵害したとはいえないと判示した。判断の分かれ目は、当該名称と氏名権者との間に「安定した対応関係」が形成されていたといえるか否かという点にある。中国におけるブランド展開にあたっては、やはり、漢字が重要であるということを、あらためて強く認識させられる。
Copyright (C) Japan Intellectual Property Association All Rights Reserved.