「知財管理」誌
Vol.70 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 70巻(2020年) / 11号 / 1623頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No. 511) |
論文名 | (No. 511) 音楽教室における楽器のレッスン についての演奏権侵害の成否 |
著者 | 山口裕司 |
抄録 | 音楽教室事業者と日本音楽著作権協会との間の請求権不存在確認訴訟の東京地裁判決は、音楽教室事業者の請求を全て棄却するものであった。本件判決は、従来の判例を引用し、判例理論に沿っているようにも見受けられるが、音楽教室事業者の示した著作物使用態様の場合分けに充分な考慮を払わずに、実態とは異なる擬制を重ねて、演奏権侵害を肯定し、著作権法22条の「公衆に直接…聞かせることを目的」とするという要件を、語義から離れた無意味な要件として解釈する結果となった。本稿では、著作権法22条の「公衆に直接…聞かせることを目的」とするという要件の解釈について検討するとともに、新しく導入された柔軟な権利制限規定である著作権法30条の4の趣旨を、著作権法22条の適切な解釈に反映させる可能性について論じる。 |