「知財管理」誌
Vol.70 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 70巻(2020年) / 11号 / 1612頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No. 510) |
論文名 | (No. 510) 引用発明の認定と審決取消訴訟の審理範囲─アクセスポートおよびその識別方法事件─ |
著者 | 愛知靖之 |
抄録 | 本判決は、刊行物記載発明(特許法29条1項3号)の認定に当たり、特定の刊行物の記載事項とこれとは別個の独立した刊行物の記載事項を組み合わせて認定を行うことは、原則として許されないとした上で、審決とは異なる主引用発明を認定して、進歩性判断を行った。その意味では、審決取消訴訟の審理範囲を逸脱した判決ではないかとの疑義が生じ得る。しかしながら、本判決は、主引例と副引例が完全に差し替えられた事案とは異なり、本判決が認定した引用発明は、本件審決が認定した引用発明に包含されている。したがって、本判決の引用発明と本件発明の対比判断は実質的に審判段階でも行われていたと評価することが可能である。それゆえ、審決取消訴訟の審理範囲を超えたものと評価することはできない。 |