「知財管理」誌

Vol.69 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 69巻(2019年) / 5号 / 654頁
論文区分 論説
論文名 パテント・トロールとは何か─パテント・トロールと特許制度の関係およびトロール呼称の弊害─
著者 一色太郎
抄録  本稿では、パテント・トロールを定義するとともに、パテント・トロールと特許制度の関係およびトロール呼称の弊害について論じる。
 パテント・トロールは、イノベーションを阻害するものとの意味で用いられるのが一般的であるが、未だに確立した定義は存在しない。自らが実施していない特許権を行使しているに過ぎないものがパテント・トロールとされることがあるが、パテント・トロールの呼称は、本来、特許権を濫用するものに限定して用いられるべきである。
 財産権である特許権を、特定の者が保有する際に限って制限することはできない。トロールにまつわる議論に際しては、トロール活動を制限することは、特許権そのものの制限を意味するとの認識に立ち、過度に特許制度および特許権が毀損されないよう細心の注意が必要である。
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