「知財管理」誌
Vol.69 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 69巻(2019年) / 1号 / 123頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No. 490) |
論文名 | (No. 490) 刊行物の頒布─オーガ併用鋼矢板圧入工法事件─ |
著者 | 森本純 |
抄録 | 特許出願前に日本国内または外国において「頒布された刊行物」に記載された発明は、新規性が欠如する(特許法29条1項3号)。「頒布された刊行物」については、公知発明(特許法29条1項1号)あるいは公然実施発明(同項2号)とは異なり、具体的に誰かが閲覧して発明を認識したことの立証が不要であり、「刊行物」が「頒布された」という事実で足りる。しかし、発刊日が明らかな出版物等であればともかく、「頒布された刊行物」の該当性については、「刊行物」あるいは「頒布」の要件を充足しているか否かを巡って、しばしば争いとなる。裁判例でも、様々な要素に基づいて判断がなされているのが実情である。本稿は、知財高判平成30年1月22日(平成29年(行ケ)第10055号)「オーガ併用鋼矢板圧入工法事件」を題材として、「頒布された刊行物」の意義及び認定について、実務的に検討し、問題点を整理するものである。 |