「知財管理」誌
Vol.69 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 69巻(2019年) / 10号 / 1343頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | Prima facieによる自明性判断を覆すために─化合物発明について審理された米国控訴審判決の整理─ |
著者 | 宮前尚祐 |
抄録 | 化合物発明に対して、化学構造が類似する化合物を開示した引用文献が引かれると、その構造の類似性を根拠に発明が自明であると推定される。米国ではこの一応の推定をprima facieと称し実務で運用されている。化合物発明のprima facieの要件としては、化合物の構造の類似性と類似の有用性が挙げられるが、さらに具体的な示唆や適切なサポートまでは必要ないとされる。Prima facieの拒絶・無効理由は、予想外の結果等が証明されれば、これを覆すことができる。自明性の主張立証責任については、終局的な説得責任は拒絶・無効を主張する者が負い、これが転換されることはない。Prima facieによる責任の転換は提出責任の範疇に留まる。以上の点を、米国控訴審判決を過去に遡って整理し、その上で近時の判決のなかにみられる実務上の留意点に触れていく。なお、化合物発明の自明性判断で関わりの深い、リード・コンパウンドの選定についても触れる。 |