「知財管理」誌

Vol.67 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 67巻(2017年) / 8号 / 1244頁
論文区分 判例と実務シリーズ(No. 472)
論文名 (No. 472) 意匠法7条における「一意匠」の判断基準─容器付冷菓事件─
著者 松本尚子
抄録  本事案は、意匠に係る物品を「容器付冷菓」とする意匠登録出願について、意匠法7条に規定される「一意匠一出願」の要件の充足性が争われた審決取消訴訟事件である。これまで「物品の単一性」について明確な判断基準が存在しなかったところ、本判決はその判断基準を明示し、結論として、出願意匠の一意匠性を認め審決を取り消した。これまで、原則として「容器」と「中身」は別意匠と取り扱われていたが、これらを組み合わせた意匠であるから直ちに二意匠になるのではなく、社会通念上一体のものとして理解されるものであれば一意匠と認められることが示された点も意義があるものと考えられる。
 本稿では、「一意匠」として認められるための「物品の単一性」「形態の単一性」に係るこれまでの考え方を整理したうえで本判決を考察し、さらに出願時における実務上の留意点について言及を加える。
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