「知財管理」誌
Vol.67 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 67巻(2017年) / 7号 / 983頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 中国における渉外OEM生産と商標権侵害─最高人民法院2015年11月26日民事再審判決に関する考察─ |
著者 | 中島敏 |
抄録 | 中国における渉外OEM契約に基いて生産された製品にかかる標章が他者の中国商標権に対する侵害を構成しうるか否かに関して、中国では、司法上も行政処理においても判断が分かれており、統一されていなかった。このため、中国企業へのOEM生産委託では法的リスクが大きな問題となっていた。 この問題について、中国最高人民法院2015年11月26日民事再審判決(2014民提字第38号)は、OEM契約に基づいて生産された製品の全品が外国へ輸出され、中国国内市場に全く供給されるものでない場合には、OEM製品への標章の表示は『商標の使用』に該当せず、商標権侵害を構成しないとの明確な判断を示した。 この判決は、実務上の大きな問題点を解決しただけでなく、その判決理由において、単に中国商標法の文理解釈に止まることなく、商標制度の本質にもとづく判断が述べられている。中国知的財産権司法の分野における近年の深化が示されているものと考えられる。 |