「知財管理」誌
Vol.67 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 67巻(2017年) / 6号 / 883頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No. 470) |
論文名 | (No. 470) 医薬発明における用量規定の解釈 |
著者 | 細田芳徳 |
抄録 | 本事件は、メニエール病治療薬という用途発明に係る特許権を有する控訴人が、被控訴人の製造販売するメニエール病改善剤が、本件特許の侵害に当たると主張して提起された特許権侵害差止等請求事件の控訴審判決である。争点として、被控訴人の製品に係る添付文書に記載の用量は、本件特許の請求項に記載の用量の範囲から外れているが、実際の医療現場では、投与量が適宜増減され、構成要件に含まれる態様で使用される場合があり得るとして侵害成否が争われている。 知財高裁は、用途発明における「実施」とは、新規な用途に使用するために既知の物質を生産、使用、譲渡等をする行為に限られると解するのが相当であるが、被控訴人は、本件特許の新規用途に使用するために被控訴人製品を製造販売したものということはできないから、本件発明における特許法2条3項の「実施」に該当するものと認めることはできないと判断し、侵害を否定している。 本稿では、医薬発明における用量規定の解釈について考察してみた。 |