「知財管理」誌
Vol.67 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 67巻(2017年) / 12号 / 1791頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | サポート要件再考 |
著者 | 宮前尚祐 |
抄録 | サポート要件に関する近時の知財高裁判決にあたると、その判断が実務家の視点でみて厳しい印象を受けるものが散見される。我が国において、サポート要件が実質的なものとされたのは平成15年の審査基準改訂のときである。平成17年の偏光フィルム大合議事件でそれが追認された。それからいまだ十余年であり、歴史は浅い。 サポート要件が徒に厳しくなれば、制度上のバランスを欠くばかりでなく、特許制度に対するユーザー離れにもつながりかねない。そこで、判決の内容や最新の学説にあたり、以下の点について検討する。規範的な側面について、(1)要旨認定の合理性、(2)発明の要旨と明細書の要旨の因果関係、(3) 作用機序の斟酌の各論点に関して判決の説示内容を分析する。主張立証責任については、(1)要証事実の性質を確認し、試案になるが、(2)事実上の推定の可能性や、(3)その前提事実について考察する。また、明細書作成上の留意点についても触れる。 |