「知財管理」誌

Vol.67 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 67巻(2017年) / 11号 / 1749頁
論文区分 海外注目判決(No. 30)
論文名 (No. 30) [米国]特許域外適用規定の適用範囲を限定した連邦最高裁判決の意義と残された問題点
著者 マイケル・カミンスキ/土井悦生
抄録  近時、米国最高裁判所は特許法に関する重要論点につき、たて続けにCAFCの判断を覆す判決を下している。本判決もその1つである。本判決で問題となったのは、複数の構成部品(構成要素)2)からなる特許発明品のうちの構成部品(構成要素)の1つを、海外で製造するために米国より海外に供給(輸出)する行為が、米国特許侵害となるか、である。この点に関し、米国特許法の域外適用に関する米国特許法271(f)(1)条の解釈が争点となった。今回、連邦最高裁判所は、複数の構成部品からなる特許発明品のうちの構成部品(構成要素)の「1つ」を海外で特許発明品を製造するために供給(輸出)する行為は、構成部品(構成要素)の多寡に拘らず(すなわち構成部品(構成要素)が2つしかない場合にその1つ(すなわち全体の半数)を供給(輸出)する場合でも)、また個々の構成部品(構成要素)の重要性如何に拘らず(すなわちたとえ供給(輸出)する1つが非常に重要な構成部品(構成要素)であったとしても)、米国特許法271(f)(1)条の侵害を構成しないと判示した。同判決は、汎用品を米国から米国外に輸出する企業にとり、米国特許侵害を回避する新たな戦略的対応を可能にするものとして注目に値する重要判決である。
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