「知財管理」誌
Vol.66 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 66巻(2016年) / 6号 / 697頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.460) |
論文名 | (No.460) 不正使用取消審判規定における主観的要件と「混同」の保護主体に関する検討・考察 |
著者 | 廣田美穂 |
抄録 | 本事案は、周知ブランドに係る商標権が類似商品の範囲で分割・移転されて複数の商標権者に所有され、一方の使用権者の使用が、他方の商標権者の業務との混同行為に該当するとして、商標法53条の審判が請求され、審決取消訴訟に至ったものである。 同53条は、文理解釈上、使用権者の主観的意図を問うことなく適用され得るが、本判決は、類似範囲で分割・移転された商標権の使用権者の主観的要件を求めた点で参考になる。 また、本判決は、ブランドを周知にした者とは別に正当使用者が存在する場合の、同53条の「混同」の保護主体についても判示した。この考え方は、並行輸入事件や不正競争防止法事件等にも適用され得る。 本稿では、これら主観的要件及び「混同」の保護主体の問題を俯瞰的に考察した上で、商標の使用に関する実務上の留意点と、問題を生じさせないための事前対策を検討する。 |