「知財管理」誌
Vol.66 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 66巻(2016年) / 6号 / 617頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 特許請求の範囲における移行句の解釈─「〜からなる組成物」,「実質的に〜からなる組成物」, |
著者 | 生田哲郎 |
抄録 | 特許請求の範囲に記載された「〜からなる」、「実質的に〜からなる」、及び「〜を含む」等の移行句の、日本の裁判実務での解釈においては、米国特許法下の移行句の解釈のように、移行句の文言形式のみで一義的に解釈されるということはなく、特許請求の範囲に記載された他の用語の解釈と同様に解される。すなわち、「〜からなる組成物」は「必須成分のみからなる組成物」、「〜を含む組成物」は「必須成分以外の第三成分を含んでいる組成物も入る」との普通の意味であると、文言から先ず解釈し、次いで必ず、発明の詳細な説明から、発明の技術的意義、各必須成分がもたらす作用効果、追加成分に関する記載、実施例・比較例等を参酌し、更には、辞典等の記載、出願経過を参酌して、用語の普通の意味解釈どおりでよいのかを総合的に判断される。結局、移行句の用語の意義解釈は、特許請求の範囲に記載された他の用語の意義の解釈手法と何ら変わりはない。 |