「知財管理」誌
Vol.66 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 66巻(2016年) / 2号 / 199頁 |
論文区分 | 海外注目判決(No.10) |
論文名 | (No.10) [米国]Nautilus差戻判決に見るCAFCが示した記載要件の方向性─Williamson判決との比較による考察─ |
著者 | 吉田哲/緒方大介 |
抄録 | 健康機器の特許に関する本件侵害訴訟「Biosig v. Nautilus」では、米国特許の記載要件(発明の明瞭性)の基準が主要な争点となった。米国連邦最高裁判所は、これまでの連邦巡回控訴裁判所(CAFC)の運用を改める判決を行った。記載要件の厳格化が予想されるなかで、CAFCはその差し戻し判決において「新基準のもとでも、発明は明瞭であって、無効理由はなし」との判断を行った(Nautilus差戻判決)。一方、Nautilus差戻判決とは別に、CAFCは機能的クレームについて規定した112条(f)の適用要件を緩和する方針転換をWilliamson判決で示した。そこからは、一般的な記載要件とは別に、機能的クレームについては厳格化を進める方針が読み取れる。本稿では、CAFCが行ったNautilus差戻判決を解説するとともに、Williamson判決との比較から、米国司法界が示す記載要件の方向性についての考察も行う。 |