「知財管理」誌
Vol.66 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 66巻(2016年) / 2号 / 189頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.456) |
論文名 | (No.456) 複数の被告製品の一部のみが原告特許の技術的範囲に属する場合における差止請求の成否 |
著者 | 岡田徹 |
抄録 | 特許権に基づく差止請求権は物権的請求権であるから、これまでは、差止請求権は、原則として、客観的に特許権を侵害する行為があることにより発生し、主観的要件としての侵害者の故意過失を必要としないと考えられてきた。一方で、近年、PAEs(Patent Assertion Entities:特許主張主体)による権利行使の問題等、特許法の目的(産業の発達(第1条))にそぐわないのではないかと思料される権利行使事案が散見される。本件判決は、このような状況下において、原告と被告の利益衡量を行い、衡平の観点に言及することにより、一部の侵害の事実を認めながら差止請求を棄却したものであり、各種議論を踏まえる中で、一歩踏み込んだ判断をしたものと考えることが出来る。 |