「知財管理」誌

Vol.66 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 66巻(2016年) / 1号 / 93頁
論文区分 海外注目判決(No.9)
論文名 (No.9) [米国]誘発侵害における「侵害の認識」と「特許無効の信念」─「特許無効と信じていた」は抗弁にならない─
著者 木梨貞男
抄録  誘発侵害に関して、米国特許法第271条(b)は「積極的に特許侵害を誘発する者は、侵害者としての責めを負う」と規定するだけである。米国最高裁は、Global-Tech判決2)で、誘発侵害でも、寄与侵害と同じように、被疑誘発侵害者は、誘発した行動が侵害することを認識していたことが必要であるとした。この侵害の認識に関して、被疑誘発侵害者が、特許が無効であると善意で信じていた場合にも、侵害を認識していたことになるのであろうか。この事件(以下、「Commil事件」という)は、この点について争われた事件であるが、米国最高裁は、特許侵害を誘発する意図があったかどうかの判断において、善意で無効を信じることと、善意で非侵害を信じることは区別されるべきであるとし、被疑侵害誘発者が善意で無効を信じていたとしても、誘発侵害に関して、特許侵害を誘発する意図を否定する抗弁にならないと判決した。
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