「知財管理」誌
Vol.66 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 66巻(2016年) / 12号 / 1578頁 |
論文区分 | 海外注目判決(No. 20) |
論文名 | (No. 20)[豪州]単離された核酸の特許適格性を否定したMyriad事件最高裁判決 |
著者 | メリッサ・エーセ/山本英子/マーティン・オブライアン |
抄録 | 特許無効裁判提訴から5年あまりを経て2015年10月7日に下されたMyriad事件の最高裁判決は、豪州における従前の特許実務を覆し、自然界に存在する核酸を単離したものは特許保護対象から除外されると判断した。第一審、第二審判決を覆した最高裁判決は、特許発明の特許保護対象としての要件として規定される「独占法6条でいうmanner of manufacture」の解釈を司法判断により広げる得る背景条件を挙げ、本特許発明を含むよう特許保護対象の概念を広げるのは司法ではなく立法機関の管轄であるとした。また、請求項の記載形式ではなく主題の実体に着目し、当該特許発明の主題の実体は化学物質ではなく遺伝子「情報」であるとし、発明性、ひいては特許適格性を欠くと判断した。本記事ではさらに、最高裁判決を受けて特許庁から発行された審査運用、および最近の審査の例を紹介し、既存の特許および審査係属中または今後の特許出願への影響を考察する。 |