「知財管理」誌

Vol.66 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 66巻(2016年) / 12号 / 1567頁
論文区分 判例と実務シリーズ(No. 465)
論文名 (No. 465)所謂「容易の容易」の進歩性判断についての一考察─ロータリ作業機のシールドカバー事件─
著者 玉井敬憲
抄録  進歩性は、請求項に係る発明が先行技術から容易に想到し得たか否かを問う特許要件であり、「容易」の解釈が多岐にわたり判然とせず、裁量に頼らざるを得ないとの実情がある。それ故に、進歩性判断への対応には、蓄積された判例理論を論拠とした実務が求められる。本判決は、先行技術となる複数の引用発明を組み合わせて本件発明に想到する過程で、「容易」になし得ると評価される段階を2つ経ることになる事案である。「容易」な発明の創作を2つ積み重ねるとの意で「容易の容易」と称されている。「容易」がどれほど積み重なっても、屋上屋を架すがごとく無益なものが積み重ねられるだけであれば、2つの段階を通じて結局は容易であるといえそうである。審決も進歩性を否定するものであったのに対して、本判決は、それを覆して「容易の容易」の成立を認めて進歩性を肯定したものである。本判決がそのように判断した拠り所は何か、進歩性判断に対する本判決の意義を探究し、それを踏まえて、実務上の留意点を考察する。
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