「知財管理」誌
Vol.66 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 66巻(2016年) / 10号 / 1311頁 |
論文区分 | 海外注目判決(No. 17) |
論文名 | (No.17) [ドイツ]欧州司法裁判所によるFRAND判決(Huawei対 ZTE事件)及びドイツ裁判所の動向(その1) |
著者 | クレメンス トビアス シュタインス/マーク デルナウア |
抄録 | 自らの標準必須特許に関してFRAND宣言をした特許権者による権利行使、とりわけ差止請求権の可否が競争法上の理由で制限されるべきかどうか長年論議されてきた。2012年より、欧州委員会も電気通信会社に対する2件の競争法違反手続において、どのような場合に特許権を行使することが例外的に競争法違反にあたり、どのような条件で競争法違反を構成するかという問題に取り組んできた。2014年に、欧州委員会は両事件における特許権者の行為はEU競争法違反に当たると判断し、被疑侵害者がFRAND条件のライセンス契約を受け入れる意思がある限りにおいてFRAND宣言をした特許権者による標準必須特許に基づく差止請求は認められないと判示し、さらにライセンス契約を受け入れる意思があるかどうかの判断基準を列挙した。2015年7月16日には、欧州連合司法裁判所のHuawei 対 ZTE 事件の判決が出され、EU域内における一定の統一的見解をもたらしたが、未解決の問題も多い。最近、ドイツの幾つかの裁判所がこの欧州連合司法裁判所の判決に基づいた見解を示したので、本稿ではそれについて論ずることにする。 |