「知財管理」誌

Vol.65 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 65巻(2015年) / 9号 / 1250頁
論文区分 判例と実務シリーズ(No.451)
論文名 (No.451) 公知物質の用途発明の進歩性について
著者 金子裕輔
抄録  本事件は、公知物質の用途発明について、その用途が引用文献から容易に想到できるか否かが争われ、優先日当時の技術常識の認定が論点の1つとなった。裁判所は、副引例のアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤について、優先日当時、個々のACE阻害剤が実際に血管内皮の収縮・拡張機能改善作用、血管内膜の肥厚抑制作用を有するか否かは、実験によって確認しなければ分からないというのが、当業者の一般的認識であったと認定した。そして、主引例の抗高血圧剤と副引例のACE阻害剤との間にACE阻害活性の強度及び構造上の差異など種々の相違があることを捨象し、主引例の抗高血圧剤も上記ACE阻害剤と同様に、上記の作用を示すことを期待して、これを用いることを容易に想到したとは考え難いと判示した。本稿では、この事件を題材として、公知物質の用途発明の進歩性を主張するために検討すべき事項について考察する。
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