「知財管理」誌
Vol.65 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 65巻(2015年) / 9号 / 1155頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 無線通信分野の標準必須特許の権利行使に関する中国競争法による規制─クアルコム社による市場支配的地位の濫用事件を中心に─ |
著者 | 林 秀弥/鄭 双石 |
抄録 | 2015年2月10日、中国国家発展改革委員会はクアルコム・インコーポレイテッド(以下、「ク社」という。)に対し、60億8,800万元の課徴金を課す決定を発表した。本件決定は、標準必須特許と標準非必須特許を抱き合わせる行為、チップセットを提供する際に非係争条項の締結を条件とする行為等が市場支配的地位の濫用に該当すると判断した。 国家発展改革委員会は、標準必須特許のロイヤルティ基礎額の算定、失効特許についてライセンス料を徴収する行為、標準非必須特許の抱き合わせ、失効特許の抱き合わせ及びチップセットの提供と特許の許諾を抱き合わせる行為、ライセンシーの有する特許を無償でライセンスさせる行為、非係争条項の締結を余儀なくさせる行為について、詳細に調査した。本件は知的財産権と独占禁止法が交錯する領域での重要事例である。本稿では、2009年日本の公正取引委員会によるク社に対する排除措置命令と比較しながら、本件決定を検討する。 |