「知財管理」誌
Vol.65 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 65巻(2015年) / 8号 / 1106頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.450) |
論文名 | (No.450)数値限定発明の特許性判断における実験データを巡る攻防の留意点─誘導体磁気及びこれを用いた誘導体共振器事件─ |
著者 | 柏 延之 |
抄録 | 本事件は、誘導体磁気及びこれを用いた誘導体共振器の発明に係る特許について損害賠償請求訴訟が提起され、被告から無効審判が提起され、その控訴事件と審決取消訴訟が知的財産高等裁判所の同一の部に係属し、同日に判決が下された事案である。ここでの争点はいずれの訴訟事件においても同一の特許(数値限定発明)に対する法29条違反であり、引用文献に記載されていない特性を立証するために実験報告書が提出されているが、損害賠償請求控訴事件と審決取消訴訟とで異なる引用文献と実験報告書によって有効・無効の判断が分かれている。このように、本件は知的財産高等裁判所で統一的に判断が下されていながら判断が明確に分かれた珍しいケースであることから、本稿では、これらの裁判例を基に、数値限定を伴い作用効果について規定された発明に関して実験報告書を提出する際の実務上の留意点等について考察してみた。 |