「知財管理」誌
Vol.65 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 65巻(2015年) / 1号 / 95頁 |
論文区分 | 海外注目判決(No.1) |
論文名 | (No.1)[米国]黙示ライセンスの存否─先の和解後に取得した新規特許の黙示ライセンスを否定した事件─ |
著者 | 西 美友加/林 茂則 |
抄録 | 2014年3月31日、連邦巡回控訴裁判所は、特許権に基づくジェネリック薬品の販売差止めの仮処分申立につき、黙示ライセンスを否定して原判決を破棄差戻しした。本判決は、先行する特許訴訟で成立した和解条項の文言を精査し、和解金の対価として如何なる実施が許諾されたのか、精緻な契約解釈により、黙示ライセンスの存否を判断しており、和解条項のドラフティング経緯が、後続の特許紛争に重大な影響を及ぼすことを改めて示している。本判決を概括すれば、ライセンス特許の継続特許(continuation)には黙示ライセンスの推定が及ぶが、ライセンス特許と仮出願(provisionalapplication)を共通にする特許には黙示ライセンスの推定は及ばないと判例法理を整理しているが、少数意見は、ライセンス特許と仮出願を共通にする特許にも黙示ライセンスの推定が生じると解すべきと指摘しており、今後、本判決の議論を踏まえたライセンス交渉が必要となる。 |