「知財管理」誌
Vol.65 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 65巻(2015年) / 1号 / 14頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | サムスン対アップル控訴事件を巡る法的考察 |
著者 | 蔡 万里 |
抄録 | 知財高裁平26・5・16債務不存在確認請求控訴事件では、アップルによる標準規格に準拠した製品の生産・販売等に対して、サムスンが主張した特許権侵害を理由とする損害賠償請求が、FRAND条件でのライセンス料相当額を超える部分では権利の濫用に当たるが、FRAND条件でのライセンス料相当額の範囲内では権利の濫用に当たらないと判断された。本判決から、FRAND条項を考慮しライセンス契約の成否、損害賠償請求権の行使と権利の濫用とのバランス、及び信頼保護などに対する判断には、特許法ばかりではなく、民法、民事訴訟法上も検討すべき点が多く含まれているように思われる。本稿は、主に日本民法の視点から、FRAND条項により当事者間に生じた権利・義務を改めて分析した上で、標準化必須特許権の行使が権利の濫用とされる法的構成ないし信頼保護の方式及び信頼責任の帰責原則などについて検討を行ったものである。 |