「知財管理」誌
Vol.65 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 65巻(2015年) / 10号 / 1339頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 欧州における育成者権と地理的表示の侵害対策と日本への示唆 |
著者 | 木村有紀/田中麻衣 |
抄録 | 今年6月の地理的表示制度の施行に伴い、農産物等の知的財産権への関心が高まっている。これを契機として知的財産の保護対策について示唆を得るため、欧州における農産物や食品における知的財産の侵害対策を調査した。欧州では、育成者権の侵害に対して、民間団体が国際連携により積極的な抗議活動を展開している。知的財産戦略には権利保有者の意識の向上と自助努力の強化が何よりも重要とされている。一方、地理的表示の侵害対策は公的機関の役割であり、国際協定の場における政府間の議論のほか、幅広いチャネルに対する監視活動、抗議、消費者啓発を展開している。日本の食材輸出を2020年までに1兆円とする政府目標を達成するためにも、地理的表示制度の施行を契機として、政府はインターネット上の監視を強化し、新たな制度に関する内外の消費者啓発を積極的に展開していくことが必要である。 |