「知財管理」誌
Vol.64 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 64巻(2014年) / 8号 / 1167頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | ビジネスにおけるパロディ利用の現在地─企業によるパロディと著作権・商標権・不正競争・パブリシティ権─ |
著者 | 福井健策/中川隆太郎 |
抄録 | ビジネスの領域にも数多くのパロディが存在するが、その内容がバリエーションに富むこともあり、様々な角度からの法的検討が要請される。著作物のパロディは、フェアユースやパロディ規定など、正面から扱う規定を欠く中、既存の枠組み内で解釈上の工夫も蓄積されているが、統一の判断基準を見るに至っていない。ブランドイメージとパロディについては商標法及び不正競争防止法が主戦場となる。現状は、主に混同のおそれをメルクマールとしており、その棲み分けにも合理性があるが、混同のおそれを要件としないダイリューションについては更なる議論の深化が必要となろう。肖像等のパロディはパブリシティ権が問題となるが、ピンク・レディー事件最高裁判決から日が浅くまだまだ議論の蓄積が十分とは言い難いため、今後一段と議論の活性化が期待される。ビジネス利用の際は、パロディと知的財産権の幸福な共存のため、各要素の丁寧な検討が求められよう。 |