「知財管理」誌
Vol.64 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 64巻(2014年) / 2号 / 175頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 自然科学系の学術論文は著作物となり得るか─自然科学系の学術論文と著作権の関係について─ |
著者 | 新 谷 由紀子/菊本 虔 |
抄録 | 学術論文のうち、特に自然科学系の原著論文については、著作権の対象として保護される 可能性が低く、むしろ、全体として論文の著作物性を否定するべきである。そして、当該論文の問題に関しては、裁判所の判断を求めるのではなく、学界内部にその救済機関を設置し、プライオリティの判断や著者の名誉の保護を目指すべきである。それにより論文の電子媒体等による広範な普及を図ることができ、一方、学術出版社(者)に与える影響は小さいか、ほとんどないと考えられる。また、学術研究と著作権に関連する創作性のないデータベースについてデータベースの投資者に独自の権利(sui generis right)を与えることについては、著作権類似の権利の拡充を認めるものであり、特に、学術研究に対する重大な障害になるおそれがあるので、慎重、かつ、広範な議論を要する。 |