「知財管理」誌
Vol.63 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 63巻(2013年) / 5号 / 645頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 均等論第3要件の意義・機能 |
著者 | 山田知司 |
抄録 | 均等論の第3要件は侵害時が基準とされているが、実務では出願時の公知技術との置換に ついて容易想到が認められたものが多い。第3要件は第1要件とも絡むことが多く、第3要件を満た さないというだけの理由で均等不成立となった例は少ないが、後に同効材を発明した者が特許発明も 同時に実施した場合(実質的な改良発明)、当該具体的構成を想到することを阻害する事由がある場 合が考えられる。第3要件はクレームに記載されたも同然とはいえない技術を非侵害とするもので、 第1要件について予測可能性が高くないことから、クレームの公示機能により特許権者と事業に参入 しようとする第三者の公平を図る機能があるが、外国にもこれに類似する機能を果たすものがある。 Bが第3要件のみを欠くために非侵害とされた場合、その事実を知ったCが同じ行為をした場合は侵 害となるが、それはクレームの公示を信頼した者の保護の問題であり、人によって侵害非侵害が分か れるのは不自然ではないし、そう解釈することによりパイオニア発明の保護に欠けることもなくなる。 |