「知財管理」誌
Vol.63 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 63巻(2013年) / 4号 / 497頁 |
論文区分 | 特集(知財立国10年,成長戦略に寄与するこれからの知財) |
論文名 | 規格等に係る必須特許侵害に対する差止救済の現状 |
著者 | 藤野仁三 |
抄録 | スマートフォンやタブレット端末に関する特許訴訟は、多くのグローバル企業を巻き込ん で世界規模で展開されている。その代表が米アップル社と韓国サムスン電子の侵害訴訟である。そこ ではアップル社がタッチパネルやGUI等の先端技術に関連する知的財産権を権利主張するのに対し、 サムスンは無線通信規格の実施に必須な特許の侵害を主張して対抗している。ICT分野の特許訴訟の 特徴の一つは、通信技術規格に必須の特許が多数関わることである。必須特許に高い実施料が設定さ れると規格の普及は進まず、競業者は実質的に市場から排除されることになる。スマートフォンをめ ぐる特許訴訟では、そのような行為が競争法上容認されるのか、そして必須特許の侵害に差止救済を 認めてよいかという新たな問題が争われている。本稿は、スマートフォン特許訴訟を題材にして、 FRAND条件に違反する必須特許侵害に対して差止救済を認めるべきかどうかを検討する。 |