「知財管理」誌
Vol.63 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 63巻(2013年) / 12号 / 1899頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 標準化必須特許権侵害による損害賠償請求と権利の濫用 |
著者 | 高林 龍 |
抄録 | 東京地判平25・2・28判時2186・154は、標準規格を使用した製品を生産・販売等しているX(米国アップル社の日本法人)が、標準化必須特許の権利者であるY(サムソン)に対して、当該特許権侵害を理由とする損害賠償請求権は存在しないことの確認を求めた訴訟において、Yの損害賠償請求権の行使は権利の濫用(民法1条3項)であるとして、請求を認容する判決をした。本判決は、標準化必須特許権による差止請求ではなく、損害賠償請求を権利の濫用であるとした点、また損害賠償請求権の行使が権利濫用であるとする趣旨ながら主文では損害賠償請求権が不存在であることを確認している点など、特許法ばかりではなく、民法、民事訴訟法上も検討すべき点を多く含んでいるように思われる。本稿は、本判決を紹介し検討を加えた後に、標準化必須特許権の行使に制限を加えることが許される場面とその許容範囲や法的構成について検討を加えたものである。 |