「知財管理」誌
Vol.63 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 63巻(2013年) / 10号 / 1553頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 新規事項追加禁止の実質化と進歩性及びサポート要件との関係 |
著者 | 末吉 剛 |
抄録 | 従来、特許権者が、クレームの上位概念を明細書に明示された下位概念に訂正し、その下 位概念には特別の技術的意義があるとの主張をする場合、訂正は認めた上で、明細書に裏付けのない 主張は進歩性の判断において考慮しないという運用がなされてきた。しかし、知財高裁平成24年11月 14日判決(判時2171号112頁)は、明細書において当該下位概念が他の下位概念と同列に列挙されて いるにすぎない場合には、訂正そのものが認められないことを示唆するものである。進歩性において 課題を客観的に認定することを許容する(つまり、明細書に記載のない課題も許容する)のであれば、 補正・訂正の判断を実質化することにより、明細書から乖離した主張を防止することが望まれる。そ の一方、下位概念のクレームが出願当初の特許請求の範囲に記載されている場合には、補正・訂正の 可否に代えて、サポート要件の枠組みにおいて同様の判断を行うことも検討すべきと考える。 |