「知財管理」誌
Vol.62 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 62巻(2012年) / 9号 / 1229頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 輸出専用品のOEM生産による商標権侵害─中国及び台湾の裁判例を中心に─ |
著者 | 羅 秀培 |
抄録 | 中国においても台湾においても、海外企業の依頼に基づき、国内では販売されることなく、 専ら仕向国に輸出される輸出専用品のOEM生産が行われており、また水際における知的財産保護の 強化のため、商標権侵害物品の輸出取締り制度が設けられている。海外企業が仕向国において商標権 を保有していても、生産地である中国又は台湾に商標権を有しない場合、輸出専用品の生産及び輸出 が中国又は台湾の商標権を侵害するか否かは議論の余地がある。台湾では、過去約三十年間にわたり 一貫して非侵害という見解が示されているのに対して、中国ではこの十年間裁判例の推移を見ても、 当初は侵害説が採用されていたものが、近年になって非侵害説が有力となるという変化が見られ、裁 判地によって結論が分かれている。海外企業が当該地域で輸出専用品のOEM生産を依頼するにあた り、裁判例や法改正の動向を踏まえつつ、法的リスクを分析し、適切な対策を講じることが必要である。 |