「知財管理」誌
Vol.62 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 62巻(2012年) / 6号 / 805頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.408) |
論文名 | No.408 出願後に頒布された刊行物によって出願当時の技術水準を認定し,進歩性を否定した事例─経管栄養剤事件─ |
著者 | 赤岡迪夫 吉岡亜紀子 |
抄録 | 拒絶査定不服審判の審決取消訴訟において、審決が、出願後に頒布された刊行物の記載を 参酌して出願時の技術水準を認定した上で進歩性を否定した点が主要な争点となった事例である。 出願当時の技術水準を出願後に頒布された刊行物によって認定し、これにより進歩性の有無を判断 しても、そのこと自体に違法性はない。しかしながら、出願後の資料をむやみに証拠として用いて出 願時の技術水準を認定することは許されず、出願前に頒布された引用例には発明特定事項に該当する 性状等が記載されていなくても、(1)引用例に記載された物が出願時において一般的に入手可能であっ たことを前提として、(2)出願後に頒布された刊行物によって当該性状等が明らかにされており、(3)当 該性状等は、出願当時と当該刊行物の頒布の時とにおいて、発明特定事項との関係で実質的に差異が ない、と合理的に解釈できる場合には、出願後の刊行物を参酌して引用発明の当該性状等を認定する ことが許されたものであると考える。 |