「知財管理」誌
Vol.62 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 62巻(2012年) / 1号 / 85頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.402) |
論文名 | No.402 韓国法人に対する日本国特許権の侵害を主張する訴えの国際裁判管轄が肯定された事例 |
著者 | 木村 耕太郎 |
抄録 | 被告が日本国内に住所または主たる事務所・営業所を有しない訴訟においては、わが国の裁判所が国際裁判管轄を有するかが問題となる。特許権侵害に基づく差止めを求める訴えおよび損害賠償を求める訴えは、国際裁判管轄の関係ではいずれも「不法行為に関する訴え」として扱われ、特許権の「実施」に該当する行為が日本国内で行われた場合には、不法行為地がわが国内にあるものとして、「特段の事情」のない限り、わが国の裁判所に国際裁判管轄が認められる。本件知財高裁判決は、日本国内から閲覧可能なウェブサイトの記載のみをもって「譲渡の申出」が日本国内で行われたと認められる可能性を示唆しており、若干、行き過ぎの感がある。平成23年4月に成立した改正民事訴訟法では従来の判例理論を明文化しているが、特許権等の知的財産権の侵害に関する訴えについては特段の規定を置かなかったので、本件知財高裁判決を含む従来の判例法理は今後も有用である。 |