「知財管理」誌

Vol.60 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 60巻(2010年) / 9号 / 1461頁
論文区分 論説
論文名 審理範囲のダブルトラック問題に関する考察
著者 特許第2委員会第3小委員会
抄録 キルビー事件最高裁判決に続き、特許法第104条の3の導入により、特許侵害訴訟におい
て特許の有効性が審理判断されるケースが増えている。それに伴い、特許侵害訴訟と無効審判・審決
取消訴訟との双方で特許有効性が判断されることの問題、所謂「ダブルトラック」の問題が議論され
ており、その一論点として「審理範囲のダブルトラック問題」がある。これは、「審理範囲が制限さ
れない侵害訴訟」と「審理範囲が制限された審判・審決取消訴訟」との相違に起因する有効性判断の
齟齬を問題とするものである。本小委員会では、この審理範囲のダブルトラック問題に関し、議論さ
れている問題の具体的中身を検証した結果、問題が起こるのは極めてレアケースであり、殆ど問題が
生じていないという興味深い結果を得た。そこで、審理範囲のダブルトラック問題に対応していく可
能性の高い当事者の指針とすべく、問題の実体に関して得られた知見を踏まえ、特許侵害訴訟及び審
判・審決取消訴訟の審理の今後の方向性に関し、当事者の立場から考察した。
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