「知財管理」誌
Vol.60 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 60巻(2010年) / 8号 / 1223頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 「当初明細書に記載した事項」と明細書に開示された発明の要旨 |
著者 | 高林 龍 |
抄録 | 明細書や特許請求の範囲の補正や訂正が許容される前提としても、また国内優先権主張出 願の出願時が遡る要件としても、出願当初明細書に記載された事項の範囲の検討は欠かせない。この 点に関して知財高判平成20年5月30日判例時報2009号47頁(ソルダーレジスト事件)は、明細書に開 示された技術的思想の本質に着眼して読みこむべきとしている。同判決と明細書の記述要件に関して 判示した知財高判平成17年11月11日判例時報1911号48頁(パラメーター事件)とを関連付けて理解す るならば、明細書に当該発明の技術的思想の本質が十全に開示されている、すなわち記述要件を充足 しているのであれば、その記述されていると読み込むことのできる発明の技術的思想の本質の範囲内 においてであれば、具体的に開示されていない事項であったとしても、これを明細書に記載された事 項の範囲であるとして、その範囲内における補正や訂正あるいは優先権主張等を許容すべきであると 理解することができる。 |