「知財管理」誌
Vol.60 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 60巻(2010年) / 7号 / 1183頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.379) |
論文名 | No.379 合金発明のサポート要件――無鉛はんだ合金事件判決を契機として―― |
著者 | 山田勇毅 |
抄録 | 本稿は、無鉛はんだ合金の発明について、サポート要件が争われた事例の考察である。知 財高裁は、訂正により特許請求の範囲に限定された「金属間化合物の発生を抑制し、流動性が向上し た」について、本件発明は数値範囲に臨界的な意義がある発明ではないとした上で、具体的実験結果 がなくても、明細書の記載及び技術常識を考慮すれば、NiがCuのSnに対する反応を抑制する作用が あることが裏付けられているからサポート要件を満たすと判決した。一般に、合金発明については、 組成及び性質(又は用途)が構成要件として特定されるが、組成が重複し、性質の新規性のみで特許 性が認められた発明について、その性質に関する明細書の記載がどの程度必要であるといえるだろう か。特に、組成が重複し用途も共通する先願発明に対して、上記の作用的構成要件により新規性が認 められた発明について、どこまで明細書の記載のサポートが必要とすべきなのか、合金発明のサポー ト要件について考察してみた。 |