「知財管理」誌
Vol.60 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 60巻(2010年) / 6号 / 897頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | ライセンス契約と非係争条項(NAP条項)――独占禁止法上の留意点の検討―― |
著者 | 石田英遠,山島達夫 |
抄録 | ライセンス契約に非係争条項(Non-Assertion of Patents Clause)を盛り込むにあたって は、非係争条項に係る独占禁止法上の取扱いに留意する必要がある。平成20年9月のマイクロソフト 事件審決は、ライセンス契約における非係争条項が公正な競争を阻害するおそれを有するか否かとい う問題についての基本先例となると評価されているが、同事案には多くの特殊な事情が含まれ、また 同審決の採用した違法性の判断枠組みにも理論上疑問が呈されているなど、同審決の読み方には注意 を要する。また、そもそも非係争条項には、いわゆるプラットホームとして社会的に広く利用されて いる商品を一般消費者に安定的に提供するという意味で、競争促進効果が認められる。拙稿は、ライ センス契約において非係争条項を取り込もうとする場合、ライセンサーとしては、自らの市場におけ る地位(市場占有率)を踏まえた上で、契約の相手方がその締結を余儀なくされたと事後的に評価さ れるような状況を極力回避するための実務対応が求められるのではないかという観点から論じたもの である。 |