「知財管理」誌
Vol.60 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 60巻(2010年) / 5号 / 739頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 知財ビジネス交渉の戦略――対立を協調に導く「交渉力」について―― |
著者 | 田村次朗 隅田浩司 |
抄録 | 知的財産権の紛争では、相手の理不尽な要求にさらされて、感情的に大きなプレッシャー を受けることになる。またこちらの主張の正当性だけを強調しても、それが最終的な問題解決につな がらないことが多い。このように交渉では、論理と心理、様々な利害や思惑が錯綜する。この複雑で 多様な交渉について研究する交渉学は、もともと、米国のロースクールから研究がはじまり、現在で は、世界中で研究されている最先端の学問に成長した。ところが日本では、交渉学は、未だ十分に認 識されているとはいえない。この交渉学は、単なる交渉術ではなく、問題解決能力とコミュニケーシ ョン能力を駆使した高度な戦略性に焦点を合わせている。本稿では、この交渉学の研究成果のうち、 コンフリクト・マネジメント、ヒューリスティクス、効果的な交渉戦略の策定、創造的問題解決の方 法論について解説し、交渉学を通じた人材教育の可能性に言及する。 |