「知財管理」誌

Vol.60 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁	60巻(2010年) / 3号 / 355頁
論文区分	特集(知的創造サイクルの実現に向けて)
論文名	我が国のイノベーションシステムと知財立国のジレンマ――グローバル市場の知財マネージメントが主役になる時代の到来――
著者	小川紘一
抄録	知財力で勝る我が国エレクトロニクス産業が、グローバル市場で勝てなくなった。類似の事例が他の産業領域にも急拡大しており、我が国のイノベーションシステムに深刻な問題を投げかけている。本稿では、このような経営環境が興隆した背景について、欧米諸国の産業構造転換、製品アーキテクチャの転換と比較優位のオープン国際分業、そして欧米企業が繰り出すオープン環境の知財マネージメント、という視点から説明する。巨額の研究開発投資が生み出すハードパワーとしての技術イノベーションよりも、寧ろこれをオープンなグローバル市場の付加価値へ転換させるソフトパワーとしての知財マネージメント1）が、極めて重要な課題となったのである。本稿では、エレクトロニクス企業の事業部長を務めた経験に基づき、その実態について市場の前線に陣取る経営者の視点に立って紹介する。