「知財管理」誌
Vol.60 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 60巻(2010年) / 2号 / 155頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 最近の知財高裁判決が発明報償の実務に及ぼす問題点とその考察 |
著者 | 関根康男 |
抄録 | 知財高裁における職務発明報酬対価請求事件に対する判決1)は、一審判決に比べて全般的 に対価認定金額が増額される傾向にあり、また、これら判決がそのまま確定すると企業として非常に 問題になるような認定もなされている。その一例として知財高裁平成19年(ネ)第10056号事件判決の 問題点について考える。この判決は、「基本特許の認定」、「補給品に対する対価の算定」、「権利者に よる無効性主張の可否と権利処分」等いくつかの問題となる認定をしている。それらの認定は、特許 法旧35条の立法趣旨に反するとともに、同条に規定する「相当の対価」の算定作業に混乱を招きかね ないなどの実務上の問題を含んでいるので、企業における発明報償に対する運用に支障をきたすこと になり、発明報償制度の崩壊を招くおそれもある。 |