「知財管理」誌
Vol.60 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 60巻(2010年) / 1号 / 83頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.373) |
論文名 | No.373 数字を構成要素とする結合商標の類否が争われた事例――商標「Factory900」審決取消訴訟事件―― |
著者 | 石田正己 |
抄録 | 本件は、「Factory」の文字に「900」の数字を結合してなる「Factory900」の出願商標に ついて、「900」の数字部分は、商品の形式、規格等を表示するための記号又は符号と把握されるとし て、「Factory」を出願商標の要部と認定し、「SAPPORO」と「Factory」とを二段に併記した登録商 標に類似すると判断した審決の取り消しが争われたものである。判決においては、「Factory900」が 全体で一体不可分の商標であるとして、引用された登録商標とは非類似であり、審決の認定に誤りが あるとされた。 数字自体は自他商品・役務の識別力が弱く、他の文字部分によって識別機能が果たされるものとし て審理されるのが原則となっているが、本件は「Factory900」の現実の取引実情を考慮して、数字部 分を含めた商標全体で識別機能を発揮し得ることを判断した事例であり、今後、同様の事例を検討す るに際して参考となり得る判決である。 |