「知財管理」誌
Vol.60 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 60巻(2010年) / 1号 / 5頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 新剤型医薬品の特許権存続期間延長登録出願――後行処分を理由とする新剤型医薬品の延長登録を認めた事例―― |
著者 | 三枝英二 |
抄録 | 本判決は、特許法67条の3第1項1号該当性を68条の2の規定の観点から判断する従前の 考え方を否定し、同号該当性は同号規定の要件適合性から判断すべきであるとした。本判決は、従前 の考え方の下では否定され続けてきた後行処分を理由とする新剤型医薬品についての特許権存続期間 の延長登録を認めた最初の事例であり、注目すべき画期的な判決である。更に本判決は68条の2に規 定された「政令で定める処分」の対象となった「物」は、医薬品については、「成分」、「分量」及び 「構造」によって特定された医薬品を意味するという新しい解釈を導入した。この解釈は同条でいう 「物」は「有効成分」、「用途」は「効能・効果」を意味すると解してきた従前の考え方を打破したも のである。本稿では、この解釈には運用を誤ると、新しい係争を招く虞があることを指摘すると共に、 同条の解釈についての新しい1つの試論を試みた。 |