「知財管理」誌
Vol.60 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 60巻(2010年) / 11号 / 1807頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 日欧における進歩性の判断手法の比較 |
著者 | 古田敦浩 |
抄録 | 欧州特許において採用されている、有名な進歩性に関する判断手法である課題・解決アプ ローチは、進歩性判断における1つのツールとして後づけの分析を防ぐために有用な点もあるであろ うが、そのために、最も近い従来技術を特別な理由から1つのみ予め選択し、そこから客観的技術課 題と論理づけを行うと硬直的に解されやすいものである。このような硬直的な理解に基づいてこのア プローチを適用すると、かえって従来技術全体、基準時における技術水準の的確な把握に基づく適切 な進歩性の判断を阻害することになると考えられる。このようなリスクや実務上のニーズ等を考える と、課題・解決アプローチの日本における全面的な採用には慎重であるべきと思われるが、最近の判 例動向等から、後づけの分析の排除について日本においても審査実務上明確化を図ることを検討する 余地はあるのではないかと思われる。 |