「知財管理」誌
Vol.58 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 58巻(2008年) / 9号 / 1189頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.355) |
論文名 | No.355 特許法112条の2第1項による特許権の回復―「その責めに帰することができない理由」― |
著者 | 若松陽子 |
抄録 | 本件は、原告が、特許法112条の2第1項「その責めに帰することができない理由」のため、第5年分特許料を追納期間内に納付できなかったとして、その追納を求めたが却下されたため、処分の取消を請求した事件である。 原告は、本件特許権の管理を訴外C事務所に委託していたが、C事務所から納付期限等の通知が来なかったため、特許料納付期間及び追納期間を徒過してしまった。原告は、「管理会社の選任監督に社会通念上相当の注意を払った場合には、特許権者がなすべきことをなした」として、「その責めに帰することができない理由」に該当し、本条により救済されるべきであると主張した。 しかし、本件判決は、「本来自らなすべき特許権の管理を、自らの判断と責任において第三者に委託したのであるから、原告が本件特許権の管理を委任していたC事務所の過失は原告の過失と同視できる」として、本条項にいう「その責めに帰することができない理由」による不納には該当しないと判示した。 |