「知財管理」誌
Vol.58 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 58巻(2008年) / 4号 / 471頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 侵害訴訟における無効の抗弁と自由技術の抗弁 |
著者 | 牧野知彦 |
抄録 | 従来、侵害訴訟における無効の抗弁が認められていなかったために、様々な解釈によって、公知技術を含むような特許権に基づく権利行使を否定する取扱いがなされてきた。自由技術の抗弁はこの文脈で主張されてきた解釈論の一つと位置付けられる。その後、平成12年のキルビー事件最高裁判決により、侵害訴訟における無効の抗弁(権利濫用の抗弁)が認められ、平成16年の裁判所法等の一部を改正する法律によって、特許法104条の3が新設され、無効の抗弁が法定されるに至ったが、現在でも、当事者間の交渉あるいは侵害訴訟において、自由技術の抗弁が主張されることは珍しいことではない。このことからすれば、自由技術の抗弁には単なる無効の抗弁の代用という以上の意義を認めることができそうである。本稿は、主として実務的な観点から、無効の抗弁が法定された現在において、改めて自由技術の抗弁の要件や適用範囲、あるいはその有用性についての若干の検討を行おうとするものである。 |