「知財管理」誌
Vol.58 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 58巻(2008年) / 10号 / 1249頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 知的財産担保を巡る国際規範形成の動向と今後の展望 |
著者 | 菱沼剛 |
抄録 | 知的財産に対する担保権は、法的インフラの欠如や実務便宜上の理由によって、従前はあまり利用されなかった。しかし、知財の重要性が高まるのに伴い、国際商取引の促進にとって、知財担保に関する法的ルールの整備の必要性が認識されている。国連商取引法委員会において、担保法に関する立法ガイドが2007年12月に採択された。同ガイドは、条約と異なり各国への法的拘束力を有しないが、新たに法的基盤整備を進めている発展途上国を中心に、国際的な影響力を有するであろう。同ガイドに定められた一般原則の知財担保への適用にあたり、一部修正の必要性やその方法について、目下検討されている。本検討は、知財法と担保法、さらには倒産法や国際私法との調整が必要であり、容易でない。いずれの法も取扱わないか、逆に重複・矛盾が生じる論点の克服が必至である。本稿は、議論の現状を踏まえた上で、上記委員会第6作業部会における今後の展望や日本に与える示唆についても言及する。 |