「知財管理」誌
Vol.57 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 57巻(2007年) / 5号 / 761頁 |
論文区分 | 資料 |
論文名 | 刑法における知的財産権犯罪の理論と課題 |
著者 | 加藤浩 |
抄録 | 知的財産権に対する犯罪が増加する中、昨年、刑事罰を強化する特許法改正が行われたところである。本論文では、知的財産権に対する犯罪論を総括した後、故意論と錯誤論に焦点を当て、判例を考察することにより、知的財産権犯罪の課題について検討した。故意論については、知的財産権の特殊性から、通常の刑事事件では認識説(犯罪事実の認識のみで故意を判断)に基づいて判断がなされているのに対して、知的財産権犯罪の場合には、認容説(犯罪事実の実現の希望まで含めて故意を判断)に基づいて判断される傾向がある。錯誤論については、「事実の錯誤」の場合、原則として故意を阻却するという点では、知的財産権犯罪と通常の刑事事件とで考え方は同様であるが、知的財産権に関する事実認識レベルが向上していることが考えられ、今後、知的財産権犯罪における「事実の錯誤」の判断に際しては、事実認識レベルの変化に配慮する必要がある。 |